2009年12月14日

学校給食の新展開(3)

公表されない「公設民営」の根拠

 河野議員のブログによると、今月2日に開催された「文教厚生委員会の調査会」で、これまで検討してきた「PFI」から突如「公設民営」に切り替える方針が示されたようです。

 しかし、この「PFI」導入に関しては、「益田市学校給食あり方検討会」で、先進地視察も行い、何度も審議が重ねられ、昨年の4月8日に「PFI」の導入に関して推進の方向で市長に対して答申が出されています。

 そして、毎回「検討会」が開催された都度、発言した委員の氏名を記した議事録がホームページで公表されています。
 私は公表されている議事録にはすべて目を通していますが、委員の皆さんがそれぞれ勉強され、毎回真剣な議論が交わされていました。

 ところが、今回の突然の変更について、誰がどこでどのような審議の末に、今までの方針を変更したのかまったく公表されていません。(あの検討委員の人たちはこの変更をどう捉えているのでしょうか。)

 教育委員会の中にあるという「特別対策委員会」は、この大きなプロジェクトの最も重要な部分を決めるのですから、きちんとメンバーの氏名・審議の内容は公表すべきです。それがこの種の委員会の最低限の責務です。(「益田市学校給食あり方検討会」はそれをやっていて、各委員はそれなりの責任を持った発言をしています。)

 この学校給食のライフサイクルコストは20年間で約65億円。また導入が決まったというCATVは初期投資だけで51億7千万円。どちらも益田市にとっては数十年に一度の大きなプロジェクトです。
 しかし、今までこの二つのビッグプロジェクトに関する情報は、どこを探してもまったくホームページにリリースされていません。これはどういう理由でそうなっているのでしょうか。不思議でなりません。
 
 さて、方向が変わったという「公設民営」に関してですが、先の「文教厚生委員会の調査会」には、現状の益田市・美都の調理場、クッキングフーズの一食あたりの給食経費と「PFI」を導入した場合の比較表なども出されたようです。
 学校給食の一食あたりの経費も無視するわけにはいきませんが、この段階で「PFI」による給食経費との比較ができるとでも思っているのでしょうか。

 先の「益田市立学校給食センター(仮称)建設事業に係る整備手法調査業務報告書」には、「PFI」を導入した場合の標準的な給食施設の市場調達価格の平均値しか書かれていません。

 「PFI」というのは、民間の優れた技術、経営ノウハウを活用する公共サービスの一形態です。益田市が要求する給食サービスの要求水準を満たすものであれば「PFI」に参入を希望する民間企業によってその提供方法は違います。
 
 そうすれば、当然のことですが、初期投資も含めたライフサイクルコストはかなり違ってきます。今までの「PFI」導入事例をみても、数億円単位の違いが出ています。現状で比較できるはずがないのです。  益田市の場合、焼却場はPFIで行っていますから、これの導入経過を参考にしてみればすぐに理解できるはずです。しかし、判断一つで数億円単位で節約が可能なこの大きなプロジェクトを進めるのに、そうした検討はされていないようです。


 次回は、「極端な公共主導の無駄」について

  

Posted by kiyo at 00:33Comments(0)TrackBack(0)益田市政

2009年12月11日

学校給食の新展開(2)

「PFI」が理解できているのかなぁ?

 公表されていませんから「教育委員会内の特別対策委員会」のメンバーの専門分野も分かりませんが、少なくとも「PFI」に関する知見は極めて乏しいようです。

「PFI」が最も効果を発揮するのは、ライフサイクルに占める初期投資より、運営維持管理費の比率が高い事業です。

 今回の学校給食共同調理場の場合、先の㈱日本経済研究所のデータを見ると、市が直接建設して民間業者に20年間の業務委託契約を締結した場合、全体のライフサイクルコスト(約65億円)に占める初期投資は約38%(16憶8500万円)となっています。残りの約62%(48憶円)がこれからの運営維持管理コストです。

 給食サービスの質を低下させることなく、給食施設の効率化を図りながらコストを削減していく、というのが民間企業経営の基本ですが、これは役所が最も苦手としている部分です。

 この施設や作業システムの改善を行い、当初予定していた以上の利益が生じれば、給食の質を上げる、あるいは従業者の給料を上げる、価格は高くても地元の食材を優先的に使用すればよいのです。契約時にこうした社会還元を義務付ける条文を入れれば、民間事業者のインセンティブを削ぐことはありません。

 「同じ品質であれば、より安い価格で提供する」、「同じ価格であれば、より高い品質のものを提供する」というのが、「VFM(Value For Money)」です。つまり、公共の投資から最も高い価値を引き出すという手法が「PFI」です。

 「こっちが安いからこっちに・・・」というだけの視点から「PFI」を捉えるのは間違っています。

 次回は、「公設民営」について
  

Posted by kiyo at 23:51Comments(0)TrackBack(0)益田市政

2009年12月10日

学校給食の新展開(1)

モヤモヤのとれない最近の益田市

 「CATV」の唐突の導入が控え目に公表されたものの、何かモヤモヤした空気が漂っています。市民に詳細な説明は一切なく、議事録も公表されず、氏名も公表されない選考委員会で運営会社が決まるといった今時珍しい手法で、県外の業者に優先交渉権が付与されたようです。

 焼却場の「PFI導入」の最終的な業者選定に関して、益田市は選考委員の判断への外部からの影響を排除するため、氏名の公表はしませんでした。しかし、選考が終わった段階では、委員の氏名、専門分野、経歴を公表しています。もちろん、この委員会はすべて外部から招へいしたそれぞれ専門性の高い委員で構成されていました。(ただ、技術的、科学的な専門分野の委員が多く、関係法令や自治体経営に関する視点が欠如していたことは否めず、10億円を超える無駄な出費に関するチェックはできませんでした。)

 さて、今日の本題は「学校給食の新展開」ですから、「CATV」導入に関する考察については後日に譲ります。

学校給食の予期せぬ展開

 益田市は、老朽化が進む益田市立学校給食共同調理場の再整備における整備手法について、平成17年度から検討を開始し、同19年度に株式会社日本経済研究所に、PFI導入可能性調査を委託しています。そして、同年3月に「益田市立学校給食センター(仮称)建設事業に係る整備手法調査業務報告書」が納品されています。

 当時、この報告書を見て注目したのは、人件費については、削減率を従来の85%として設定していることです。

 「PFI」の導入は、民間の資力活用、経営能力や技術の導入によって、自治体が直接施設整備を行い、直接運営する場合に比べ、「VFM(Value For Money)」がどの程度
発生するかがカギになります。

 (VFMとは、「支払に対して最も価値の高いサービスを供給する」という考え方であり、VFM評価においては、従来型の手法によって当該サービスを提供した場合に公共が負担するコスト(PSC)を見積り、同時にPFI手法を用いた場合に公共が負担するコスト(PFI-LCC)とを比較し、事業にPFIを導入するかどうかを決定するためのひとつの重要な判断基準とするものである。後者が前者より低いと見込まれるのであれば、PFI手法を当該事業において導入することが望ましいとされる。)

 地方都市においては、公務員に比べて民間の人件費はかなり安く、この人件費の差額が大きくVFMに反映されることがあります。しかし、これでは地域の活性化は望めません。「PFI事業者」は、従来と同じ公務労働を行い、同等以上の責任を負うのですから、一家の生計も維持できないような極端な人件費の削減を目当てのPFIならあまり意味がありません。

 VFMは、民間の優れた経営能力や技術の導入によって得られるべき性質のものです。この報告書せのVFMの算定は、従来の人件費の85%とし、15年間の稼働では9.72%(約4憶2千万円)、20年では9.98%(約5億1千万円)のVFMが生じるとしているのですから、普通ならこの検討結果の報告書どおり事業を開始するものと思っていたのです。

 ところが、12月2日の河野議員のブログに「これまで、PFI手法での整備についての調査を行い、学校給食あり方検討会でPFI手法での整備が望ましいとの答申が出ていた給食センターの整備ですが、今日の報告で、公設民営手法による実施に方針が変わりました。」とあったので驚きました。

 なんでも、「教育委員会内の特別対策委員会で議論し、公設民営手法に決定した。」のだそうですが、そのメンバー構成や議事録などはないようです。このメンバーが、日本有数のコンサルタントの調査報告を覆すような優れた知見を持っているのでしょうか。
                               

   

Posted by kiyo at 23:16Comments(0)TrackBack(0)益田市政